批評:Dr.ストレンジ
久しぶりに書きたいので書きます。Dr.ストレンジ。
劇中執拗に、ドクターなのかマスターなのかミスターなのかにこだわりを見せるDr.ストレンジでございます。もちろん毎度のように、ネタバレありで、この記事を読む人は既に映画を見たという前提でお願いしますね。
で、
なんかやたらアッチ(海外)で売れているらしい&映像美?がすごいってことで、まあそれなりに期待もあって見てきました当日に。
結論から言うと、映像技術パートと新しい世界観の導入に力を入れ過ぎたMCUは、結果、一番大事な一人の人間のストーリーテリングをもの凄くおざなりにした作品をたたき出してしまった。って感じですな。
巷でのストレンジ先生の評判としては、さすがMCU、映像技術がすごい、的なことはまあどこにでも書いてあってよく見ますが、言ってしまえばこれ、
それ以外は、あとはどうでもないつまらん映画だったと言う事ですよ。
もちろん細部に至るまでディズニーやエンタメならではの小粋な、ちょっと笑える演習が張り巡らされていて、それなりに笑えたりもして楽しめる...
......気になったつもりにはなれる映画です!!!
だが、待て!!!!
ヒーロー映画の核はそこに非ずでしょーが、アナターーーーー!!!
ね。
久しぶりの(でもないけど)、マーベルヒーローの単独作品一作目の映画なんですよ。ストレンジ先生は。
アイアンマン、キャプテン、ソー、アントマンとかまあ色々ありますけど、どの映画もきちんとただの一人の「おっさん」の成長をきちんと描いていたではないか!(きちんとの重複)
言ってしまえばヒーロー映画の一作目っていうのは、ホントただ「おっさん」が人間的に成長するだけで、その中にいかに魅力や面白みのある展開を作れるかってことだと思うんですよ。
だからその「おっさん」がどんな超人的力を手に入れるだとかアーマーを手に入れるだとかは、言ってしまえばただのおまけにすぎないわけで。(言ってしまえばの重複)
それに関してはDCのスーパーマンや懐かしダークナイトのバットマンだってきっちりやってくれてる話なんですよ。逆に言えば、そこさえしっかりやってくれれば、こっちだって気持ちよく「ワー、あのスーツかっこいい〜、ウフフ!」って楽しめるんだからね。
それを今回、あろうことか、天下のマーベル大先生が、
全然「おっさん」描けてないジャンけ!!!!!け!!!!!
主演がカンバーバッチだとか、映像技術によって魔法の表現がとか、そういうことじゃないでしょうよ本来見るべき部分って。
一つ言っておくと、「そんなん私どうでもいいんで、ただイケメンオジサンがバトルしてスッキリしたいだけなんす」っていうスットコドッコイは速やかにこの記事から退出してください。
というわけで、「Dr.ストレンジ!」とかいう以前に、ただの医者のスティーブンストレンジというキャラクターに全然馴染めないまま話は進んで行き終わってしまった感じです。
ざっと言うと、
・まず冒頭での主人公の高慢さ自惚れの描写が甘い→なので後の改心した感が別にどうでもいいすけどくらいの感想になってしまう。
・そしてストレンジの登場の仕方(音楽的演出)がアントマンと同じ。(音楽がイケイケだったので)イケイケ感で押してくるキャラなのかと思ったらそのあと全然そんなでもないし。(ちなみにアントマンはライトなキャラ設定だったのでその音楽演出は良かった)
・さっさと事故りすぎで全然展開に自然さがない。早く話し進めたい感がすごい。
・「目覚めよ!」ってところでなんかよくわからん世界に吹き飛ばされてるシーンなど、何カ所かのシーンがただただクソコラに見える。多分これは大真面目にやってるんだけどまあまあ笑えちゃう感じになっている。
・ストレンジの魔法覚醒時を全く描かない(これが一番の罪悪!!!!!!)。結局、エンシェントワンが才能のせいにしてるので、結果才能でヒーローになれたと言っても過言ではない。さらに足せば、魔法のマントもなぜかストレンジを気に入る。これもなんかどさくさに紛れて消化されているイベントである。結論、ストレンジは努力とかはしたけど、そもそもセンス(才能)がめちゃあったのでヒーローになれた、という映画になっている。こんな奴のどこに共感すれば良いのか謎。
・ストレンジだけでなく、モルドも最後悪者になるための布石が弱い。
・結局、魔法の概念とか諸々の状況が今何これ?どういうことってシーンが多くて(字幕で一回見た限りでは)、結局映画終わった後も魔法ってなんやねん?ってなる。
・ストレンジの手はどのタイミングでどの程度使えてるのか一切不明。
・マッツミケルセン別に悪い奴に見えない。大切な人を亡くしたとか言ってたけど、そこもちゃんと描くべき。メインヴィランとして最低の扱いを受けている。最も魅力に欠けるヴィラン間違いなし。
はい。とりあえず思いつくだけでこんなもんでしょうか。
結局ベネとマッツとMCUの名前だけで売れたんじゃねーか感が、死ぬ程否めない映画です。
えー、最後になりますが、いちいち戦闘後に病院に運んで手術して...っていう流れはバカっぽくてとても好きでした。
でもMCUは繰り返しの表現のスマートさをもう少し頑張った方がいいかもしんないす。ドゥマムゥのとこも込みで。
で、一番言いたいのは、今回主人公が医者であり、彼が人(敵)を殺さない(だか、殺したくない)って強く言ってたので、そこ今後きちんとやってねってことです。
本作で彼は多分一人殺しましたが、そのあとは守りに徹してたはず(マッツはおいといてね)。でも反して最近のアベンジャーズさんたちはぶっ飛ばしまくってるじゃないすか。なんならキャプテンなんて戦争時代を生き抜いてるから殺しまくりだよね。
そのグループの中に入るんだか入らないんだかは知らないけど、共闘は絶対することになるんだから、今後の作品でその辺のストレンジの扱いが適当だったら本当に許さんからな!!!!MCU、おい!!!!!
でな感じで「Dr.ストレンジ」でした。
最終感想、
「見なくて良し!!!!」